自治労福岡でパート賃上げ2万円、協約拡張適用2024/02/02 14:45

【労働フォーラム】20240130-21

非正規に初めて労働協約の拡張適用、自治労福岡の水道サービス従業員ユニオン 最低賃金で月2万円の引上げも

★自治労の福岡市水道サービス従業員ユニオンは最低賃金の地域拡張適用を申し立て、1月5日に福岡県知事が認め、全国で初のケースとなった。自治労本部も1月25日の記者会見で報告した。 ★適用職種は、福岡市が民間委託する水道検針業務のパート検針員。適用労働者数は組合のある2職場の組合員66人と同職場未組織労働者11人に加え、組合の無い企2企業のパート検針員24人の総計106人。賃金は最低時給1082円となる。さらに月の実労働時間と検針実件数に応じて14z29~1605円の時給の下限が適用される。有給の裁判員休暇や労働・社会保険の加入義務も盛り込んでいる。組合の無い職場のパートは最低でも月額2万円程度の賃上げとなった。 ★労働協約の拡張適用(労組法18条)は、一定の地域で、同種の労働者の「大部分」(条文には規定はないが4分の3以上の労働者)に適用されると、その協約内容が同業他社の地域全体の労働者に適用されることになる。 ★ 地域拡張適用は1947年の労組法成立から12件目。過去の決定は正社員が対象だったが、公共事業のパートの適用は初めて。また最賃についても労働協約の拡張適用による決定は1958年の滋賀県以来65年ぶりとなる。 ★欧州では産別労使協約を軸とする法的拡張が機能しているが、企業別組合の日本では、労組法で拡張適用が規定されていても、要件や運用で実効性は乏しい。最近ではUAゼンセンが組織拡大を背景に、初めて労働時間短縮・休日増で県を越え労働協約の拡張適用で成果をあげている。

■自治労、24春闘でスト(民間)、29分時間内食い込み集会(公務)

自治労は1月29~30日に都内で中央委員会を開き、24春闘では「少なくとも物価上昇を上回る賃上げ獲得ヘ官民一体で取り組む」を決めた。全国統一行動では「スト(民間)、29分時間内食い込み集会」など提起した。能登半島地震に対する取り組みも強める方針だ。 (鹿田勝一)

ヤマト3万人一斉契約解除に抗議、責任追及2024/02/03 16:21

労働フォーラム【2024年2月3日】土 24-22 ヤマト3万人の一斉契約解除に抗議、今後も雇用責任追及 建交労・軽貨物ユニオン、郵政ユニオン、全労連などが記者会見

★ヤマト運輸が日本郵便に「クロネコDM」の業務移管に伴い、ヤマト運輸の軽荷物を配達する業務委託のクロネコメイト約2万5000人と、パート約2500人の合計3万人が一斉契約解除される期日の1月31日、建交労・軽貨物ユニオンと郵政ユニオン、全労連は国会内で記者会見を行い、撤回闘争の報告とあわせ、今後も会社の団交拒否に対する都労委救済申立てや労働相談を受け付け、会社の責任を追及していくと強調した。 ★山内健人・建交労栃木県本部委員長は、茨城では軽貨物ユニオン・ヤマト茨城班を結成(パート組合員21人)し、団交で解雇を撤回させ、12人が雇用を確保。9人が会社都合の退職として謝労金3か月を支給させ、「組合結成と交渉による大きな成果」と語った。全国的にも地域差があるものの再配置の協議が行われているところもあるという。 ★高橋英晴・建交労神川県本部書記長で軽貨物ユニオン委員長は、会社は団交を拒否する一方、名前を明らかにした組合員3人については、都労委提案も受け「話し合い」を組合立ち合いで実施。組合は要求として「会社内の再配置先提示と面談」「日本郵便への推薦など雇用確保」「最低でも3カ月の業務委託料相当の謝礼金支払い」で話し合い、「ヤマト内での再配置も示されている」という。一方、ヤマトの提示は短時間勤務で、月収がこれまでの約30万円から、8~9万円への大幅減収となり、生活できる業務を求めていると指摘した。会社が業務委託者は労働者ではないとしての団交を拒否対していることに対しては、不当労働行為として都労委に救済申立てを行っている。 ★中村知明・郵政ユニオン顧問は「ヤマト問題で日本郵便と交渉している。採用については、人の必要性を見極め、有期の期間雇用労働者で、65歳定年とされ、雇止めの懸念もある」と指摘した。 ★竹下武・全労連事務局次長は「3万人以上の一斉契約解除は不当であり、ヤマトグループ人権方針にも背いている。闘いは続いており、雇用を守るためヤマトの社会的責任を求めていく」と強調した。 ★水口洋介弁護士は、会社の団交拒否での都労委調査と関わり「EUでは配達就労は労働者と法的にも認められている。ヤマトの業務委託クロネコメイトの働き方は労組法上の労働者といえる労働実態がある」と指摘。組合も「個人事業主の労働者性を認め、会社と団交できるようにすべきだ。国会でも論議して欲しい」と述べた。来賓には共産党の山添拓参議院議員もあいさつし、「大量の首切りは近年ないことである。首切りしやすい政府の働き方を変えさせることも重要だ」と表明した。 ★建交労・軽貨物ユニオンは、パートでは茨城、広島、愛媛などで組合を結成。個人業務では神奈川、北海道、山口、愛知、広島などで組合に加入している。全労連のヤマト争議支援署名は半年間で7万9582名にのぼっている。(ジャーナリスト・鹿田勝一)

ビジネスと人権で講演、ILO駐日代表、連合の対応2024/02/04 16:36

【労働フォーラム】20240204日-23

「ビジネスと人権の最新情報」でILO駐日代表の高﨑真一氏が講演 有価証券報告書に「人権」公表へ、連合はILO中核的労働基準の団交権など5分野

★「ビジネスと人権の最新情報」をテーマにしたホットな講演(ZOOM)をILO駐日代表の高﨑真一氏から聞き参考になった。主催は日本IJO協議会の第67回海外社会労働事情研究会で2月1日に行われた。 ★人権と投資ビジネスがリンクしているケースでは、「GFANZ」(グラスゴー金融同盟・50か国)傘下の民間資本100兆米ドル超へのアクセスには、「IFARS」(国際サスタナビリティ)の開示基準への準拠が必須になっていることである。「IFARS」の開示基準は、「ISSB」(国際サスタナビリティ基準審議会)の基準に基づき、①財務情報、②気候関連情報、③生物多様性、人的資本、人権について、各国が策定してる。 ★日本では2024年に「日本版ISS基準」策定が予定され、公開後に有価証券取引報告書への反映となる。同有価証券報告書では全ての企業に対して、※「従業員の状況等」として、「女性管理職比率」「男性育児休暇取得率」「男女間賃金格差」の開示要請。※「サスタナビリティに関する考え方及び取り組み」として、「人的資本多様性」「「人材育成方針・社内閑居整備方針」「測定可能な指標・目標及び進捗状況」な開示が要請されることになる。 ★労働界では連合が2923年8月に「ビジネスと人権に関する考え方」を策定。労働組合が人権デューディリジェンスに関わることは、企業の社会的評価・持続可能性に貢献し、建設的な労使関係の構築につながると指摘。「人権課題」ではILO中核的労働基準の5分野(結社の自由・団交権、強制労働、児童労働、差別、労働安全)と「ジェンダー平等」をあげいる。★連合総研は2023年7月に「日本版ディ-セントワーク8指標」を策定。賃金、労働時間、採用、適正取引、フリーランスなど待遇改善、労組の有無など27事項をあげている。 ★国際的に2024年の重要な10の人権テーマとされているのは「農園」「鉱山」「自然界」「オフィス」「海洋」「工場」「宇宙」「都市」「国境」など。「工場」ではAI利用に伴うデータ・プライバシ、労働者の監視があげられている。 ★各国で人権デューディリジェンスの法整備が進められ、EUでは2023年12月に「持続可能性デューディリジェンス指令案」が合意されているほか、米国、カナダ、韓国などでも法制化されている。日本では2024年に「日本版ISS基準」の策定が予定されている。 ★働き方に関してはGFA(国連のグローバル枠組協定)やSDGS(国連の持続可能な開発目標」(17の目標)で「働きがい」「ジェンダー平等」なども盛り込まれている。「ビジネスと人権」は他項目で重なりあいつつも、人権が投資ビジネスとリンクしているのが特徴となっている。(鹿田勝一)

JR連合、ベア昨年3・3倍の1万円要求、人材確保ヘ2024/02/09 14:33

【労働フォーラム】20240207-26

JR連合、24春闘ベア要求昨年の3・3倍の10,000円、人材流失防止へ

★JR連合は24春闘の要求で昨年の3・3倍のベア10,000円、定昇6000円含め1万6000円を決めた。昨年のベア要求は3000円だった。2月1日に高松の中央委員会であいさつした荻山市朗会長は要求について、政労使とも物価に負けない賃上げや価格転嫁の必要性を訴えていると紹介しつつ、「非常に高く感じるかもしれないが、物価上昇に照らしても常識的な水準であり、JR連合も98春闘までは1万円以上を掲げていた。労使のマインドを変えなければならあない」と強調した。 ★人材確保については「若年層や中堅層の離職が増加し、さらに深刻化」と指摘し、グループ89労組とワンチームで闘うと述べた。運賃・料金の柔軟な引き上げや地方路線でモビリティを築くことも訴えた。政府は人手不足の運輸産業への外国人労働者の導入も検討している。(鹿田勝一)

初雪、連合24春闘闘争開始宣言集会中止2024/02/10 15:31

【労働フォーラム】20240205月-26

初雪。武蔵浦和駅前2センチ。連合24春闘闘争宣言集会中止

基幹労連。津村委員長「物価超えるベア」、鉄鋼49年振り3万円要求2024/02/12 15:13

【労働フォーラム】20240207-24 基幹労連中央委 津村委員長「物価超えるベアを」、賃上げ相場形成・波及めざす、鉄鋼ベア3万円要求

★ 鉄鋼、造船、非鉄金属などの基幹労連は2月7日、中央委員会を東京で開き、24春闘のベア要求を1万2000円以上(約4%)と決め、各部門で上積みし、鉄鋼はベア3万円(10%)など大幅な賃上げを掲げた。 ★ 基幹労連は「2年サイクルの春闘を堅持」しながら、24春闘では03年の産別結成以来、初めて単年度のみの方針を決定。国際情勢や為替の動向など予測が難しい状況や格差是正などを考慮したものである。 ★ 鉄鋼部門はベア3万円(約10%)を要求。定昇6900円を加え3万6900円(約12%)の引き上げとなる。2年前は「22年度3500円、23年度3500円以上」を要求し、妥結は物価高騰を考慮しない「3000円、2000円」にとどまり、造船・総合重工など他産業と大きな差が生じていた。24年の要求はインフレ下の74年の(31%)以来49年ぶりの高い水準となる。 ★ 造船・総合重工部門はベア1万8千円(5%)、定昇込み7%で調整し、77年の1万8千円以来の水準。23年はベア1万4千円(4%)を要求し、大手は満額を獲得していた。  非鉄金属部門はベア1万5千円(約5%)を求める方向だ。 ★討論では、三菱重工は「昨年、満額獲得14000したが、職場からは実感がないとの声がある、24も物価に負けない取り組みをする」。神戸製鋼は「3万円を示し、取引先にも波及させたい」と表明した。 ★ 各部門の要求の違いと産別の統一闘争については、「賃金改善で一致し、部門で変化への対応」としている。交渉についても実質賃金を確保した上で、人への投資を求める方針だ。 ★ 春闘全体への影響について、石橋学事務局長は「大手がパターンセッターとなり、中小へ波及させ、春闘相場引き上げへ」と展望。津村正男委員長は「デフレ脱却のきっかけへ、高い水準(の要求)を掲げ高い回答を引き出すことが波及効果を持つ」と意義を語った。 ★中小支援については、大手の先行高相場回答を波及させ、例年行っている業種経営要請行動で経団連などが推奨している公正取引のパートナーシップ宣言など要請。昨年11に政府が提起した労務費増加の価格転嫁については、「具体的な取り組みの時間的対応から要請しない」と語った。 ★津村正男委員長は2月5日の事前の記者会見で、「物価を上回る賃上げ」の意内容について、「定昇を含むのか、ベアだけかが不明確である」と指摘。「定昇は賃金カーブ維持分であり、内転原資だ。ベアは基本賃金引きでカーブ引き上げ水準だ。物価を超える賃上げは、定昇除いたベアである」と強調した。

★基幹労連の2年サイクル春闘は1998に鉄鋼労連が「毎年でなく、2年に一度の春闘で闘争を集中し、運動の効率化」から採用した。経団連も隔年に触れつつも、毎年の春討効果を重視。労使とも2年サイクル型は広がっていない。基幹労連の今後の動向が注目される。

★鉄鋼も3万円要求は49年ぶり。74年の過年度物価上昇率が前年より5%高い20・9%アップを踏まえ、75春闘要求で総評は前年より1万円高い40000円以上(30%以上)、同盟は27%(約30000円)を設定した。前年マイナス要求を提起した鉄鋼も要求率は前年の31%より低い26・9%としたが、額では前年より2000円高い32000(定昇2800円別)を要求。JCも物価分を上回る25%を掲げた。妥結は鉄鋼13・9%の最高で決着。春闘全体は13・1%に低下したが、全体では物価分を上回る実質賃金2%増を確保している。(鹿田勝一))

ラグビー、ニュージーランド交流戦、埼玉勝つ2024/02/13 14:31

【労働フォーラム】20240213火-27

ラグビーリーグワン、ニュージーランドと初の交流戦、埼玉勝つ

リーグワン交流戦が初めて行なわれた。ニュージーランドから準優勝のチイーフと、ブルウの2チームが来日。埼玉は攻め、フェンスも良く、5トライの38対14で勝利した。日本勢は1勝3敗に終わった。

自動車大手10組合が物価超えベア要求、実質賃金プラスヘ2024/02/18 14:46

【労働フォーラム】20240218日-29

自動車大手10組合が物価超えベア要求、実質賃金プラスヘ「要求貫徹」めざす

★自動車総連は2月14日、大手メーカー労組が賃上げ要求を提出した。ホンダ、日産など10組合が物価分(3%)を超えるベアで実質賃金を確保し、昨年のホンダ1労組からの拡大となる。★要求組合の平均は、非公開のトヨタと、ベア要求をしないダイハツを除き、10組合で定昇含め1万83200円(5・51%)となる。総額表示でベアは公開していないが、定昇約2%、ベア3%程度とみられ、実質賃金確保の水準となる。★また企業連・単組自決を反映して、12組合で11組合に要求は分散した。最高はスズキで定昇込み2万1000円で、昨年より8800円の引き上げ要求となる。トヨタは職種と資格の分類で平均賃上げを要求するが、「非公開」と共闘に背を向けている。★自動車は昨年、大手は満額回答だったが、要求が物価より引く、実質賃金はメーカーで1・03%減、車体・部品1・9%減、販売2・63%減など5部門ともマイナスの厳し結果に終わっている。★金子晃浩会長は会見で「30年間上がらなかった賃金を動かす大きな年。物価分の実質賃金確保にとどまらず、働く環境改善を含め、要求貫徹をめざしたい」と語った。(鹿田勝一)

山の上ホテル休業、作家など利用2024/02/21 17:22

【労働フォーラム】20240213火-28

山の上ホテル休業、87年の歴史に幕

神田駿河台の小さな坂上にある山の上ホテル、ヒルトップホテルが2月13に休業した。1937年に米国建築家が設計してから87年の暦に幕。戦時には旧海軍、戦後はGHQが接収した。出版社が多く、作家、編集者が泊まり込み(カンヅメ)で利用した。大学の近くにあり、ラウンジでのコーヒーやバアーでの談話、レストランでのクラス会などにも利用した。落ち着いたホテルである。

東電ワット争議、請負の労働者性認めるが、解雇容認2024/02/24 16:41

【労働フォーラム】2024024-32

東電ワット争議、東京地裁「契約解除」容認、団交拒否に33万円の損害賠償命じる

★東京電力グループのワットラインサービスの電気メータ交換工事の請負労働者である高野さんの契約打ち切り撤回を求めた裁判で、東京地裁はこのほど、20年間の契約更新の連続性・同一性を否定し。「契約継続に対する期待が保護されると認められない」として、契約打ち切りを容認した★。会社はデジタル化で自動化・省力された時刻設定の作業をしていなかったとして、「50点未満」など過去にさかのぼって罰則を適用し、2019年3月に契約を打ち切った。高野さんは「やらなくていいといわれて作業に対して、後付け罰則を判決は触れていない」として控訴を表明した。 ★一方、団協拒否に対しては、請負労働者を「労組法上の労働者に当たる」と認定。団交拒否以降、組合員が減少の転じ、信用・社会的評価が低下し、損害が生じた」と判断し、会社に対して33万円の損害賠償の支払いを命じた。★ワットの請負労働者は全労連・全国一般労組計器工事関連分会を結成、21年に契約打ち切りとなった13人の集団訴訟と調査など4件の争議を闘っている。(鹿田勝一)