ビジネスと人権で講演、ILO駐日代表、連合の対応2024/02/04 16:36

【労働フォーラム】20240204日-23

「ビジネスと人権の最新情報」でILO駐日代表の高﨑真一氏が講演 有価証券報告書に「人権」公表へ、連合はILO中核的労働基準の団交権など5分野

★「ビジネスと人権の最新情報」をテーマにしたホットな講演(ZOOM)をILO駐日代表の高﨑真一氏から聞き参考になった。主催は日本IJO協議会の第67回海外社会労働事情研究会で2月1日に行われた。 ★人権と投資ビジネスがリンクしているケースでは、「GFANZ」(グラスゴー金融同盟・50か国)傘下の民間資本100兆米ドル超へのアクセスには、「IFARS」(国際サスタナビリティ)の開示基準への準拠が必須になっていることである。「IFARS」の開示基準は、「ISSB」(国際サスタナビリティ基準審議会)の基準に基づき、①財務情報、②気候関連情報、③生物多様性、人的資本、人権について、各国が策定してる。 ★日本では2024年に「日本版ISS基準」策定が予定され、公開後に有価証券取引報告書への反映となる。同有価証券報告書では全ての企業に対して、※「従業員の状況等」として、「女性管理職比率」「男性育児休暇取得率」「男女間賃金格差」の開示要請。※「サスタナビリティに関する考え方及び取り組み」として、「人的資本多様性」「「人材育成方針・社内閑居整備方針」「測定可能な指標・目標及び進捗状況」な開示が要請されることになる。 ★労働界では連合が2923年8月に「ビジネスと人権に関する考え方」を策定。労働組合が人権デューディリジェンスに関わることは、企業の社会的評価・持続可能性に貢献し、建設的な労使関係の構築につながると指摘。「人権課題」ではILO中核的労働基準の5分野(結社の自由・団交権、強制労働、児童労働、差別、労働安全)と「ジェンダー平等」をあげいる。★連合総研は2023年7月に「日本版ディ-セントワーク8指標」を策定。賃金、労働時間、採用、適正取引、フリーランスなど待遇改善、労組の有無など27事項をあげている。 ★国際的に2024年の重要な10の人権テーマとされているのは「農園」「鉱山」「自然界」「オフィス」「海洋」「工場」「宇宙」「都市」「国境」など。「工場」ではAI利用に伴うデータ・プライバシ、労働者の監視があげられている。 ★各国で人権デューディリジェンスの法整備が進められ、EUでは2023年12月に「持続可能性デューディリジェンス指令案」が合意されているほか、米国、カナダ、韓国などでも法制化されている。日本では2024年に「日本版ISS基準」の策定が予定されている。 ★働き方に関してはGFA(国連のグローバル枠組協定)やSDGS(国連の持続可能な開発目標」(17の目標)で「働きがい」「ジェンダー平等」なども盛り込まれている。「ビジネスと人権」は他項目で重なりあいつつも、人権が投資ビジネスとリンクしているのが特徴となっている。(鹿田勝一)