ブラック企業「サカイ引越」組合つぶしで提訴、神奈川 ― 2021/07/01 14:42

労働フォーラム(2021年7月1日)
「ブラック企業」サカイ引越センターの組合つぶし許さない
神奈川県労委に不当労働行為救済申立て、全労連・全国一般神奈川地本と分会
「引っ越し大手のサカイ引越センターは組合つぶしの不当労働行為を止め、ブラック企業といわれる低賃金・長時間労働の改善を」と6月29日、全労連・全国一般神奈川地本とサカイ引越センター分会が神奈川県労働委員会に救済を申し立て、会見を行った。
サカイ引越センター(本社・大阪堺市)は設立42年を迎え、正規従業員は6113人、臨時従業員10911人で、全国5ブロックの傘下に190事業所(支社・支店)を有している。組合は川崎市宮前支社に勤務する20歳代労働者6人で5月に結成した。
救済申立て書によると、平均年齢は33歳、平均勤続は7年と短く、ブラック企業の典型とされる「入社しても過酷な労働環境で次々に退職する」「労働者使い捨て」という違法・無法な労働実態を浮き彫りにした。賃金は基本給6~8万円と超低額で10数項目の諸手当があり、月平均70~99時間の残業代を入れても支給総額は23~25万円に過ぎない。神奈川県の地域別最低賃金(1012円)を下回る可能性もあり、労働基準監督署と精査という。サービス残業や厚労省・国交省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(1日拘束原則13時間など)」も守られていなく、「労災隠し」も指摘されている。組合は5月に労基法違反、国交省改善告示違反など11項目を川崎北労働基準監督署に申告した。
組合は会社に対して賃金、労働時間の改善やパワハラを止めることなど9項目を要求しても、文書による不誠実な「ゼロ回答」。6月の第1回団交でも会社は責任ある役員を出席させないなど「不誠実な交渉態度」で不当労働行為をうかがわせた。
組合攻撃も露骨だ。会社側は組合公然化の4~5日後から全国で他の労働者への個人面談を行い、「神奈川の支社で組合ができたのを知っているか。組合に入ったら残業できないぞ」と恫喝し、労組活動を侵害する行為を行っている。
しかも会社は組合結成通知の2~3日後、組合員だけを除外した業務用ライングループをつくり、組合員には1日1件しか仕事を回さない配車選別の報復攻撃を強行。仕事量を極端に減らした差別待遇で手取りは約10万円と大幅に激減した。さらに大森陸分会長(25歳)には4カ月前に上司の支持に従って決着済みの業務上事故を「事故隠蔽」に仕立て異例の「本社研修」を画策。さらに6月21日には突如、「懲戒処分通知書(譴責)」を交付してきた。
組合は会社の一連の行為は反組合・組合敵視・組合排除の不当労働行為の「意思」が存在するとして、労組法7条の「不利益取扱い」「団体交渉拒否」「支配介入」に該当するとして、謝罪文の掲示など含め10項目の不当労働行為の救済を申立てた。
会見で水谷正人・神奈川地本委員長は「会社の組合排除、組合つぶしはマニュアル化された老獪なやり方だ。不当労働行為のやりどくを許してはならない」と強調した。組合が掲げている要求や労基署への申告は働いている全員の処遇改善に関わる切実な課題。大手ブラック企業の組合つぶしを許さない広範な支援も求められよう。(ジャーナリスト・鹿田勝一)
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