JAL165人解雇撤回へ都労委審問、支援者ら多数参加2021/07/15 11:09

JAL165人の解雇と団交拒否を審議する東京都労働委員会(都労委)の第1回審問が7月13日に開始され、都労委が不当労働行為の救済に強い意欲を表明した。 救済申立人はJAL被解雇者労働組合(JHU)。年齢理由から非組合員となった前パイロット争議団長の山口宏弥氏ら3人が今年4月に組合を結成。会社に対し「統一要求」に準じて、「希望者全員の復職」「復職が適わない者の地上職勤務」や補填・解決金などの要求で、団体交渉を申し込んだ。会社が拒否したため、5月に不当労働行為として都労委に救済を申し立てていた。 山口委員長は審問の意見陳述で、日本航空が2010年12月31日に強行したパイロット81人、客室乗務員84人の整理解雇の不当性を糾弾。「地位確認訴訟」で解雇は合理性があるとされたが、会社側が争議権確立を妨害したことは不当労働行為として、都労委は11年7月に救済命令を出している。最高裁では16年9月に憲法28条違反、労組法7条違反と断罪されている。しかし、会社は社内に謝罪文を掲載しただけで「社外の私たちには何一つ対応していない」と批判。しかも解雇から10年半にパイロットは386名を採用、客室乗務員は6205名を採用しながら「原告では一人も乗務復帰者はいない」と指摘。解雇の狙いが「モノ言う労働者の排除」「労働組合の弱体化」であったことが証明された。国交大臣からは「JALにおいて適切に対応すべき」との答弁、ILOからは解決勧告も出されている。赤坂社長も「早期解決」を発言している。しかし争議は解決していない。私たちの闘いは「働く権利」を守り、空の安全にも繋がる。「争議が長びくことのないよう解決に向けての審理を」と強調した。審問室には当事者、弁護人、支援者の補佐人など10人が入った。  都労委はJAL争議のこれまでの経過などを踏まえつつ、「救済命令か、和解による実質的解決の方向もある」とし、第1回審問で踏み込んだ解決方向を示した。会社側にも同じ内容を示した模様である。 都労委審問には多数の支援者が詰めかけた。争議団員やJAL争議を支援する組合関係者をはじめ、栃木、東京、神奈川、京都、大阪などからも参加があり48人にのぼった。参加者からは「争議を支援し、会社に早期解決を迫る運動も重要になっている」などの声も出された。 JALは当初、JHU結成に疑問を呈し、団交も拒否していたが、都労委が救済申し込みを受理すると、対応を変更。今後、JHUとの団交は8月4日に予定され、都労委の第2回審問も9月に予定されている。JHUの山﨑秀樹書記長は「団交では要求を踏まえた解決にこだわりたい」と語った。 争議支援では東京や神奈川で支援の運動が拡がり、「国民支援共闘の運動も、JHUの運動もオール共闘」の立場で支援する方向だ。JHUは会社の不誠実な対応で未解決のままとなっている争議の「全面的な解決に資するため」に都労委に訴えた。JAL争議は165人の違憲・違法な不当解雇撤回争議で日本最大の争議である。会社を早期解決に向かわせるため各組合との共闘連帯の前進と運動の拡大が求められている。(ジャーナリスト・鹿田勝一)