イオン労働協約の横断的春闘賃上げ効果、法大公開シンポ2023/12/19 15:14

イオングループ労働協約の内容と春闘横断的賃上げ効果を聞く、法大研究会公開シンポ

★イオンとイオン労連が締結したイオングループの労働協約の内容と横断的な春闘賃上げ効果を聞いた。法大の研究会研究会の公開シンポで、イオンリテールワーカーズユニオンの濱本隆宏書記長が基調報告を行った。イオン労連は48組合で約12万人を組織している。正規(日給月給社員)とパートなど非正規(学生バイト除く)を問わずユニオンショップ協定が適用される。 ★労働協約締結は22年10月5日から23年10月4日までとされているが、有効期間では継続効力も確認されている。イオングループの新たな労使関係として、協約では「誇り」「パートの同一労働同一賃金など処遇改善」「年間を通じた労使協議」「賃金・労働条件・生産性向上」などを規定。協約の範囲は「グループ全体」「労働条件」「個社の課題」など6項目である。 ★23春闘では、統一回答日より先行して3月1の第1回交渉でパート一律45円に昇格昇給、評価昇給で7%賃上げ。正規は一律7000円の昇格昇給、評価昇給で15000円(5%)で満額獲得した。産別内だけだけでなく、社会的な賃上げ相場の形成・波及に影響を与えた。職場の軸となっているバートの処遇改善や人材確保、働く人のモティベーショアップ、リーディングユニオンの役割発揮として最高額を獲得している。 ★ 要求討議や妥結内容は、勤務時間や人員が異なるため、支部ごとに数週間かけて行い、1人ひとり運動参加を重視しているが、参加は5割程度という。交渉システムはグループ交渉の下に専門委員会、その下に3部門があり、労働条件、生産性などに分かれている。 ★バートの本格的な組織化は04年からで、当初は社会保険加入の週20時間から始め、今は制限なしで、組合員の8割をパートが占めている。 ★同一労働同一賃金では、賃金表は正規とバーアトと異なる。しかしマネージャーや店長になると、時間給比で同一となるが、転勤や労働時間も同じになる。採用はエリアか、転勤の有無で異なる。課題では、入社3年で青年や女性が辞める人がいることや、評価への不満などもあり、会社は、職種や移転など社内公募も行っている。 ★イオングループ労働協約は、企業別組合(単組)の枠を超えた労使関係や労働条件決定システムとして、今後の運動展開が注目される。なお欧米では産別レベル労働協約であり、企業横断的な労使関係と労働条件の決定(ドリフトもあるが、産別規制)となっている。 ★24春闘でもイオングループの労働協約に基づく交渉となる予定だ。(ジャーナリスト・鹿田勝一)

新宿で公契約、最賃の新たな共同2023/12/29 13:32

東京新宿で最賃と公契約条令の新たな共同 連合系と全労連系、中立労組、地域賃金相場形成・波及ヘ

★「「最賃UPと公契約条令で労働と生活をボトムアップ」と題したユニークな集会が東京・新宿で12月11日に開かれた。主催は東京土建新宿支部(中立)と新宿区労連(全労連)など地域労組の実行委員会で、講師も組織の枠を超えた初の新たな運動のキックオフ集会となった。 ★講演では、「最賃引き上げはグローバルスタンダード、地域から広げる賃金底上げ」と題して、国民春闘共闘会議の黒澤幸一事務局長(全労連事務局長)が報告。最賃引上げは内需拡大と雇用増につながることや中小企業の支援を提起。新宿区の最低生計費の再調査や公契約との連動などを訴えた。 ★新宿公契約条令労働報酬等審議会の八木信男・労働者委員(連合東京新宿地区協議会議長)は、24年度の下限額を定める審議が大詰めを迎えており、区提案の1245円に対し、1300円を求めていることなどを報告。公契約は自治体に対する「労使による付加価値還元」と述べて、注目された。また下請け以下の企業で下限違反があった場合、元請けに連帯責任を負わせる規定(ILO型公契約)の創設を求めていきたいとも語った。 ★新宿の公契約条令は19年に都内では9番目に採択され、対象は51職種。行動提起は「新宿アクション」実行委員会の新宿区労連・岡村稔事務局長が提起。が現在の最低生計費調査で1772円の再調査や24年1月からの最賃新宿デモなどを提起した。アクションでは新宿地域から「生活できる水準」の最賃運動と公契約をめざしている。 ★春闘では民間の企業内最賃から最賃改定、公務員の初任給引き上げ、公契約の労働報酬引き上げへ連動した通年的な民官の賃金闘争で地場賃金相場の形成・波及への共同闘争も構想されている。 ★連合系、全労連系、中立労で一致する要求に基づく新たな地域共同の拡がりとして注目される。(鹿田勝一)

市民連合を介した立憲、共産の行動に懸念、芳野連合会長2023/12/30 16:50

市民連合を解した「立憲・共産と行動に懸念」、芳野連合会長、これまでの対応変更か

★連合の芳野会長は12月21日の定例会見で、「市民連合を介した共産党と立憲が一緒に行動を起こすということを懸念する」と表明した。「市民連合はイコール共産党系の団体ではない」「当日も政策合意ではなく、市民連合からの要望をそれぞれの政党が受けただけだと承知している」「岡田幹事長も理解されたと思う」と述べた。市民連合は12月7日に立憲、共産、社民、れいわ、沖縄の風に政策要望を行い、写真も撮っている。 ★会見では、記者から「前事務局長の相原さんは、主語は野党でなく、市民連合であり、市民連合を蝶番として野党がつながっているものである」として、実体的に野党間の共闘を認めていた。会長発言はその変更になるのではないか」「市民連合は政党とは異なり、市民組織であり、憲法で保障された市民組織を擁護すべき連合が市民団体を阻害・ブレーキをかけることにならないか」との質問が出された。これに対して芳野会長は「市民連合は否定しない。市民連合を介した共産党と立憲との行動を懸念している」と述べた。

★岡田幹事長は12月28日の記者会見で芳野発言にかかって発言。報道によると、次期衆院選に向けて野党議席の最大化のため、各野党と連携と力合わせは何度も表明しており、今回の市民連合の会合(政策要望会)も趣旨に添うものであり「今度も参加していく考えだ」と表明し、「連合とは連携をとりながら対応していきたい」と述べている。★また清水連合事務局長と会談したことにも触れ、清水氏は「報道にあるような市民連合の会合そのものに参加すべでないという話は(芳野氏)から出なかったと認識している」と述べたという。 ★ 立憲の泉代表は12月21日の会見で「自民党政権、派閥政治の延長を許さない。(各党に)『政治改革政権』を作ることを呼びかけたい」と表明。野党結集・共闘がカカとなり、立憲と連合の対応が酔われることになる。

最賃水準、賃金の6割へ連合が初提起、EU参考に2023/12/30 16:55

連合が最賃で賃金の6割を初めて提起、イギリス、EU視察参考

★連合は連合は結成34年で初めて最賃水準を一般労働者の賃金中央値の6割とする方針を12月12日の会議で確認した。イギリス、EUなどの視察実態調査を踏まえた水準で、組織労働者の賃上げの未組織労働者への連動した賃金決定システムとして注目される。

★現在の最賃全国加重平均と賃金中央値の比率は47・8%。新たな目標では今後2年程度で、すべての都道府県で1000円以上を実現。その後、、連合はこれを1ポイントずつ引き上げ、35年に6割への到達をめざす方針だ。春闘などで正社員全体の賃金が上がれば、中央値も上昇するため、複数のケースで今後の推移をシミュレーションした。それによると、賃上げにより中央値が毎年2%上がるケースでは、中央値の6割は35年に1630円に、3%上昇で1850円、4%だと2098円になる。 ★岸田首相は今年8月に「30年代半ばに1500円を目指す」と表明している。★連合の目標はその水準を上回る。かつて連合結成当時の1990年頃に賃金の50%程度を口頭提案したことがあるが、文字で賃金の6割の提案は初めて。★イギリス、EUなどは全国一律最賃であり、 日本での方向の質問に対して「まず地域間格差の縮小をめざし、国際水準に追いつくこと。法改正の伴う全国一律最賃は視野に入れてない」と答えた。会議では、産別からの意見はなかったという。