先行満額回答の明暗、トヨタ、ホンダ、イオン2023/02/24 12:32


満額回答の明暗、トヨタ、ホンダ、イオン


3月の春闘ヤマ場を前に、異例の2月下旬から自動車、UAゼンセンなどの早期満額回答が目立つ。分水嶺は3月中旬の先行大手回答でベア3%台の実質賃金確保ができるかどうかである。
満額回答でも、トヨタ、ホンダ、イオンで違いがあり、明暗に分かれている。

トヨタは職種と資格で3570円から9370円(事務職・指導職)で2月22日に満額回答。現場労働の技能職EX3級(5ランクで中堅クラス)は5470円に過ぎない。物価高と史上最高益で3年ぶりにベア要求のあることを公表したとはいえ、引き上げ率も引き上げ総額も明らかにされていない。仮に5470円を賃金表書き換えのベアに相当するとすれば、1・37%程度か?。物価分3%を大きく割り込み、実質賃金マイナスで「目減り賃金」決着とならないか。定昇制度は20年から廃止しており、賃金構造維持分もわからない。企業主義で内向きの非社会的な実質マイナス先行妥決は春闘全体に悪影響を与えよう。本来は産別、連合が妥結を送らせる調整・指導が求められる重要課題でもある。マスコミも実態が分からないままで『満額』と大騒ぎをしているのではないか。

ホンダは2月22日の第2回労使交渉で満額回答。ベア1万2500円(3・3%)と定昇相当分を含め1万9000円(約5%)で、33年ぶりの最高額と最速決着となった。ベア額は昨年の4倍である。実質賃金を確保し、初任給は10%アップで健闘している。

UAゼンセンは連合要求を超えるベア4%程度(定昇込み6%程度)を設定し、「長期停滞の賃金ベクトル転換の分岐点、チャンスの春闘」として、実質賃金確保へ先行相場形成に挑戦。異例の早期決着として2月22日に流通部門のイオン・オールサンデーユニオン(青森)が1万4706円(6・16%)、パート7・01%の満額獲得で妥結。産別要求の6%超えで妥結第1号となった。産別では23春闘の分水嶺ともなる実質賃金確保へ向け産別統一闘争強化と妥決権を重視している。