ベア0・定昇維持・一時金春闘でいいのか春闘改革を2013/03/14 17:08

 「デフレ打開は賃上げ」が政府とメディア、民間研究機関などを含めかつてなく重視された13春闘で、連合大手の金属などはベアを放棄し、一時金にシフトした。経団連の「ベア否定、業績回復は一時金」の規範内の決着だ。
 一方、ベアで奮闘したのは先行妥結をめざしたUAゼンセンだ。「賃上げ論調の問い風を生かし、粘り強い交渉」を呼びかけ、ゼンセン加盟のセブン&アイ労連54社の約 5万人のベア獲得など、労使とも賃上げのリード役となった。 13春闘は、春闘58年でも政府による異例の賃上げキャンペーンが目立ったことだ。麻生財務相が「内部留保は厚くなり、労働分配率を上げろというのは、連合の仕事なんじゃないの」と皮肉ったことに対して、古賀連合会長は不快感をあらわにした。連合は財界のベアゼロ路線をどう打開するのか、「春闘改革」が問われている。                  
 異例の13春闘は、ベアなし・一時金重視や大手離脱の中小春闘など多くの課題を残している。問題は①ベアなし・定昇維持では電機、自動車トヨタとも標準労働者の賃金水準が低下していること、②一時金は業績で変動し、会社の固定費削減に貢献。さらに200万円前後の水準は中小、非正規には波及せず、春闘の社会的役割からも問題である③欧米と比べ生産性が上昇しても長期の賃金低下は日本だけの異常さ④古賀会長も政府も認めている企業の内部留保の還元活用などである。                   
 春闘改革では、財界のベア拒否路線の打開へ向け、大手と中小一体の体制構築も課題となる。中小春闘のみでは、妥結組合の減少となっており、内需型ベア有志共闘の強化も求められている。連合春闘は賃上げ要求、産別・単組自決など個別分散化していなかかどうかの検証もせまられている。日本総研の山田久調査部長や高木郁朗氏は「春闘機能の低下とパターンセッター方式の逆機能」など指摘し、外需依存型から成長産業の福祉や内需型産業でパターンセッター化やナショナルセンター主導の春闘改革の必要性を訴えている。                                
 アベノミクスの「成長戦略」では違法解雇の金銭解決や残業不払い合法化など「労働無法地帯」が再登場している。連合も「絶対阻止」のアピールを発表し、4年ぶりに春闘デモを復活させた。物価は早くも上昇傾向だ。「物価が上がれば、連合全体で清々とベア要求の検討も」と古賀会長は展望している。ベア春闘復権と労働法制の改悪阻止へ向け、労働側の拮抗力が問われ
ている。