労働規制緩和に「スト準備を」とシンポ2013/03/04 10:45


 アベノミクスの「成長戦略」では、かつて葬り去られた「労働ビックバン
」(労働破壊)が再登場している。                  
 安倍首相は日本経済再生本部に「雇用・医療・経済連携の推進、エネルギー政策」など10項目の重要検討課題を提示した。さらに政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)も違法解雇の金銭解決、派遣対象業務の拡大、裁量労働の規制緩和、混合医療の拡大などを検討課題にあげている。 
 東芝など経営者が参加している経済財政諮問会議も「退職に関するマネッジメントのあり方につてい整理する」などを掲げた。大企業の経営者が議員となっている産業競争力会議でも整理解雇の可能性など解雇規制の緩和、有期雇用規制の中止など言いたい放題だ。                
経団連も「これまで(民主党政権)は規制強化のみだった」と恣意的にとらえ、労働規制の緩和も言いたい放題である。内容は正規従業員に関する労働法制について見直しを図り、就業規則による労働条件の不利益変更ルールの透明化を掲げた。さらに派遣、有期雇用の拡大と均等待遇の否定や、ホワイトカラーの労働時間規制の弾力化、最賃基準の低位見直し、医療・年金の改悪など、雇用の流動化とミニマム破壊へこれまで以上に踏み込んでいる。
 とりわけ警戒が必要なのは正規従業員の労働法制の見直しである。JALでは整理解雇4要件を無視した165 人解雇と不当労働行為で係争中だ。日本IBMでは「ロックアウト解雇」で「解雇自由社会」も画策されている。パナソ、ルネサスなど電機では「追い出し部屋」などで13万人リストラが強行され、背景には企業統合によるリストラも指摘されている。       
公務・公共労関係でも、全大教では就業規則の一方的改悪による賃下げ反対で係争中であり、自治体では大阪橋下市長「維新の会」の組合・政治弾圧の暴政とたたかっている。10年の集団的労働争議は 612件と前年比4割の激減。個別労使紛争は26万件へと増加し、偽装解雇や法無視の「ブラック企業」も蔓延している。                         
全労連などはこうした働くルールとミニマムの全面破壊に抗して2月24日、「ブラック企業、乱暴な解雇、就職氷河 若者にまともな雇用」をテーマにしたシンポを開催した。若者雇用110 番には「雇用契約書には、社内規定で『労働組合活動をしたら即刻解雇』と記されており、誰もモノがいえない」(機械系商社)など違法職場からの相談も寄せられている。JMIU千葉のナノテック支部では「賃金・手当カットなど就業規則の一方的な変更が行われた」」と、一方的な就業規則の不利益変更とたたかっている争議も報告された。                              
 パネラーの後藤道夫都留文化大学教授は「働く権利がぼろぼろに崩され、むきだしの労使の利害対立となっている。労使の正面対立に対して、ストのできる労働組合を準備し、力で働く権利を押し込むことが必要になっている。組合は立ち遅れていないか」と警鐘を鳴らした。