雇用・賃金・福祉擁護へ全労連が総行動2011/12/13 12:31



 <労働フォーラム>                               
10年ぶり全労連が全国集会                             
 雇用・賃金・福祉擁護へ総行動                          
                                         
 内外とも大きな転機の時期に、日本社会の未来を開く労働運動をめざそうと、全労連(120万人)は11月下旬、浜松市で3日間の全国集会を開き、20単産、47地方から749人が参加した。                                    
 これまで96年に震災翌年の神戸集会で「総対話と共同」をうちだし、98年の松島で雇用と
地域闘争の強化を、2001年の石川・山中で組織拡大基金の創設など、全労連運動のエポ
ックとなる全国大集会である。                           
                                         
 今回は10年ぶりの集会。テーマは「安定・良質な雇用と社会保障充実による安心社会の実現」である。                                 
 情勢分析では、長期にわたる雇用、賃金、福祉劣化を指摘。また戦後初めて選挙で政権交代を実現した2年目の民主党政権について「新自由主義の構造改革に回帰し始め、『自民党化』を見過すことはできない」と厳しく批判し、その打開へ国民的な運動を提起している。
                                         
 あいさつした大黒作治議長は全労連22年の教訓に触れつつ、たたかうナショナルセンターとして春闘再生や働くルールの確立、組織拡大などを提起。さらにTPP参加反対や消費増税反対、震災復興と脱原発などの運動でJA全中や医師会など従来の枠を超えた共同の広がりを発展させ、要求実現と政治的転換をめざし日本労働運動の未来をきり開こうと呼びかけ
た。                                       
                                         
 集会では20年までに全労連のめざす「4つの挑戦」を小田川義和事務局長が提起した。課題は①労働者の状態を直視し可視化させる②非正規労働者の状態改善が中心課題③働いて人間らしい生活が保障される社会の確立④総対話と共同、全労連の強化・拡大などを設定。多国籍大企業中心の社会と政治の転換を求める世論と運動の組織を提起し、200万全労連の早期達成や「10万人オルグ団」「100万人総行動」などをうちだしている。      
 討論では、「正規社員が当たり前の社会」をめざす運動や、「生計費原則の賃金闘争の前進」をはじめ、「ディーセントワークの実現」「地域の経済活性化で中小企業との共同」「派遣法案の骨抜き反対と抜本改正」「福祉と税の改悪に対する総合的な運動」などが強調された。原発事故の福島では県の「原子力損害賠償協議会」に県労連として初参加なども報告
された。                                     
                                         
中期運動ビジョン策定へ                              
                                         
 全労連は今回の大集会の提案討論と22年の運動実績を踏まえ、来年の大会で中期的運動指針の『21世紀初頭の目標と展望』を改定する方針である。現行指針は「大企業の民主的規制・人間らしく働くルール確立」「ナショナルミニマムの確立」「国民本位の政治へ転換」「壮大な共同と統一」などを掲げており、その補強修正となる。             
 運動ビジョンでは連合も今後10年の指針で『働くことを軸とする安心社会』を策定しているが、民主党政権と連携した消費増税やTPP参加、原発対応などで産別間の矛盾もみられる。                                       
 両センターの同時多発行動は90年代より後退し、政策的な違いもある。一方、地方では脱原発やTPPで連合産別や市民団体との共同拡大もうまれている。改めて職場、地域、産別から一致する課題で「総対話と共同」を広げ、垣根を超えた一点共闘やブリッジ共闘の推進も課題となろう。                                 
 労働運動は全労連結成89年の「ソ連崩壊・資本主義勝利論」とは異なり、欧米の深刻な金融・財政危機と日本の政治経済の低迷など大きな転機にたっている。運動の展望と実現力が求められるなか、全労連が国民本位の政治と経済社会の改革へ壮大な国民共同を拡大し、社
会的な影響力を拡大できるかどうか。中期ビジョンの策定を含め今後が注目される。

原発なくす全国連絡会結成 共同拡大へ2011/12/15 13:53



 原発をなくす全国連絡会の結成総会が12月13日、全労連会館で開かれ、53団体から120 人が参加した。                     
 注目されるのは、全労連、農民連、新婦人など馴染みの団体に加え、新日本医師会なども参加団体に加わり、30団体6 賛同組織でスタートしたこと。組合では全労連とあわせ、身近な運動にしていくため構成産別も参加団体にくわわる方向である。また、9 ・19の「さよなら原発」6 万人集会を呼びかけた鎌田慧氏ら9 氏など文化人と、原発なくせの一点で共同をひろげていく方針だ。〆

産別最賃に異常事態。制度破壊に怒りを2011/12/28 20:55



 東京の電機機械、神奈川の非鉄金属など3業種の特定(産別)最賃が、地域最賃(東京16円増の837円、神奈川1 8円増の836 円) を下回り、初めて改定が見送られた。                       
 元来、新産別最賃は84年、労使協定による横断的賃金水準の形成をめざして、金子義雄氏らが苦労して設定した歴史がある。わたしもその取材にかかわり、設定について組織率の低さを懸念しつつも、企業別組合の弱点克服と組織拡大、さらに欧州型の横断的賃率をめざしたものとして、関心をもち、報道してきた。                          
 今回の東京、神奈川の使用者側の改定反対は、制度の否定であり、とりわけ、東京の東京の電機では労働市場で66%の適用がありながら、改定しないとは反動逆流以外のなにものでもない。JCは使用者への反論の見解を表明したが、連合が怒るべき重要課題である。              
 来年の特定( 産別) 最賃の引き上げへ金属労使の奮起が問われている

有期雇用でしり抜け・人間使い捨て建議2011/12/29 10:14


 労働政策審議会で有期労働契約が12月26日、労働大臣に建議された。通算5年で無期雇用になりうるとはいえ、クーリング期間を置けば、再度、有期雇用となり、人間使い捨て。連合委員はステップ・バイ・ステップと評価したが、「雇用の原則は期間の定めのない、直接雇用」とする無期雇用で頑張るべきだろう。                          
 審議会の経過では、使用者側は「有期雇用は不合理、不適切」とする表現に反論し、雇用増加の名で不安定雇用の増加をもとめ、規制緩和を主張しつつづけた。今回の建議については「われわれの主張も入り、理解する」と評価した。                              
 来春の法案審議では、有期雇用の欠陥をただし、入り口規制、出口規制で修正すべきだろう。