「これでいいのか日本の労働運動」と内外労働白書2011/09/15 15:40



「これでいいのか日本の労働運動」と11年版内外労働白書    
 分配のゆがみ拡大として厚労省の労働経済白書は、2000年代前半
からは景気変動要因より「企業の一人当たりの人件費削減が直接、
労働分配率の低下につながっているのが特徴である」と指摘した。
さらに賃金低下では、非正規増加による平均賃金の低下だけでなく
正規雇用で標準労働者の個別賃金も2010年が最低水準に下落した。
賃金カーブ(20~24歳を100 )は、95年では35~39歳で186・9 だが
10年は95年より13・5%も低下。50~54歳で34・2%も下落してい
る。大手、中小とも同じ傾向である。             
 非正規雇用の特徴では、90年代半ばから若年層の非正規雇用率が
高まり、95年の12・9%から、05年には34・6%へ上昇。女性では
各世代とも非正規率が上昇し、10年は過去最高の53・8%に達した
 日経連は95年の「新時代の日本的経営」で雇用流動化を推進。政
府の派遣自由化など規制緩和とあいまって雇用劣化が進んでいる。 
 全労連がまとめた11年版「世界の労働者たたかい」は31カ国の労
働運動白書。財政危機で緊縮財政政策が吹き荒れる欧州では公務員
の削減・賃下げ、福祉改悪の反対闘争が拡大。グローバル化にとも
なう企業の海外移転・工場閉鎖反対の雇用闘争もベルギーなどで展
開された。                         
 労働政策研究・研修機構の11年版「国際労働比較」では、半日以
上の争議行為は08年でドイツ881 件、イタリア621 件、カナダ187
件など対して、日本は52件にすぎない。賃金も04年以降から停滞・
低下しているのは、主要国では日本のみの異常さである。    
 世界でも異常な日本の労働劣化の打開と経済社会の好循環転換へ
各白書とも労働界に奮起を促している。春闘しながら賃下げが続く
もとで、賃金カーブ維持(ベアゼロ)や底上げだけでは不十分なこ
とを示している。会社の総額人件費抑制とたたかい生計費を踏まえ
た正規の賃金水準引き上げと、非正規の正規化と均等待遇の実現が
重要課題となっている。

大江、鎌田、落合氏ら原発ノー記者会見2011/09/18 20:57

大江.落合氏等記者会見

 世界最悪レベルの東電福島原発事故をうけ、ノーベル賞作家の大江健三郎氏、ルポライターの鎌田慧氏、作家の落合恵子氏などが脱原発を呼びかけ、野田新内閣に対して、原発再稼働反対の声明を発表した
  
 鎌田氏らは 9月6日に記者会見を行い、「ドイツでは脱原発の30万人デモが行われながら、原発事故の日本で大規模な行動がないのは恥ずかしいことだ。脱原発はイデオロギー対立や党派を超え、生きるための国民的な運動」だと呼びかけ、落合恵子さんも「脱原発はイデオロギーではなく命と人権の国民的な課題」と訴えている。           
     
大江氏は、ヒロシマ、ナガサキ被爆後、戦力放棄をきめた憲法とおなじように「原発事故を2度とおこさせないため原発廃止の新た法律をつくろう」とよびかけた。日弁連の宇都宮会長も「今後も政治的、イデオロギーを超えて国民、市民でつながっていけるような運動を」提起した。  
    
 映画監督の山田洋次氏も 9月8日の集会で「立場や思想を超え、原発についてはっきり意見を表しなければならない。あらゆる人々、寅さんにいたるまで一緒にやろう声をかけ力強い運動を」と呼びかけてい                               
 大震災と福島原発事故から半年となる9月11、全国で脱原発集会が開かれた。東京では、霞が関で経産省を包囲、繁華街の新宿では1万人のパレードが行われた。労組、市民、親子連れ、外国人など幅広い参加となり、社民党、共産党なども参加した。警察の高圧的な規制がめだち、右翼などの行動もみられたが、「原発いらない!」などの声を都心に響かせた。

さよなら原発6万人集会、全労連、全労協、連合組合評価2011/09/22 15:31

60000人が参加した原発さよなら集会

                                  
 大江健三郎氏、鎌田慧氏など 9人が呼びかけ、 6万人が参加した 9月19 日の「さよなら原発集会」には、労働界から連合系、平和フォーラム、全労連、全労協、中立系が初めて共同して結集した。これまで市民団体が中心だった脱原発集会に労働組合が共同して大規模に結集したのは史上初めて。  
 全労連の大黒議長、全労協の金澤議長と平和フォーラムの幹部をはじめ、連合参加の自治労、日教組、私鉄から、集会の評価と今後の課題をきいた。 
                                  
◎全労連・大黒作治議長                       
  9人の呼びかけで組織の枠を超えた労働組合や市民組織、個人が 6万人参加し、集会は大きな成功をおさめた。初めて組織の違いを超え労働界で脱原発、原発ゼロの一点で共同集会ができたことは、国民世論にかなうものであり、画期的だとおもっている。集会の成功は、共同拡大ができるいい機会であり、道がひらけたとおもう。これまでの経緯や考え方など小異は保留し、脱原発で団結することが重要であり、それが国民の期待にこたえる組合の役割であるとおもう。脱原発へ向け国民にみえる運動が重要であり、呼びかけ人の趣旨に賛同し、運動の統一機運を高め、原発ゼロへ国民の願いに応える大きな共同を展開し、系統的に運動できるのは労働組合であり、その軸として今後も全労連としてねばりづよく奮闘することを展望したい。     
                                  
 自治労連の猿橋書記長は「社会的インパクトの大きな集会となった。地方でもさまざまな共同が進んでおり、呼びかけ人の『さよなら原発』に応え、今後どう運動するかが課題だ」と語った。               
                                  
 ◎全労協、金澤 寿 議長                     
  6万人の集会は福島原発事故で若い母親たちや世論の危機性の高まりを反映したものだ。労働組合として組織の違いを超えて参加した集会は大成功と評価できる。野田新内閣の原発推進に対してインパクトを与えたことは大いに評価できる。全労協としても集会成功へいろいろ手をつくし、社会的な課題、政治的課題の経緯など困難をこえた参加をうれしく思う。過去のいきさつや総括は横において、まず原発をとめるこで一致し、すべの力を結集することを関係組織に訴えた。「それぞれがやればいいんだ」ということでは、原発を止めることできないし、敵を安心させるだけだと訴えた。     
 これまでも原発闘争は地域で住民運動とあり、全労協も結成以來、脱原発の方針を掲げ、現地の闘争に参加してきたが、全国的なつながりをもつネットワークが希薄だった。いま原発被害が全国的な規模で拡大しているもとで、脱原発の国民的なたたかいを展開する中心は組合であり、組合として政策と組織的な力が必要であり、全労協として「脱原発プロジェクト」を設置した。                              
 原発問題は日本の労働運動の再生にもかかわり、市民運動の援助でなく、労働運動の再生を展望し、社会運動の中心にしていかなけれはならない。労働組合の社会的責任として結集した力をみせることが大事だ。組織の違いを超えた集会の成功をふまえ、9・19後、今回の盛り上がりをどうつなげていくかが、労働組合の課題であり、全労協として検討を始めている。呼びかけ人をはじめ、原発を止めるための幅広い運動を展開する陣容は、組織された労働者、労働組合の社会的責任として、政党やナショナルセンター、イデオロギーをこえた政治戦線を中軸として、市民運動、地域運動の仲間と連携した社会運動とし展開していく。すべての反原発・脱原発を掲げる労働組合、団体にこのことを呼びかけ、「違いをこえた広広大な脱原発戦線」の構築へ全力をつくしたい。                        
                                  
 ◎平和フォーラム・原水禁 藤本泰成事務局長            
 垣根をこえた組合の参加は、「さよなら原発集会」の呼びかけ人が賛同をよびかけ、5万人以上の大規模集会の成功をめざしたものだ。われわれは09年に1万人規模の脱原発集会を明治公園でおこなっており、今回は福島原発事故で大規模な脱原発集会となる。                 
                                  
◎連合参加の自治労連帯活動局長 柳澤弘幸              
 4000人が全国から参加した。山形からは目標の5人より多い70人が参加するなど、目標より多い組合員が結集し、脱原発へ組合員の関心の高さをしめす集会となっている。自治労は大会で脱原発社会の実現をきめた。組合の社会的責任として連合への意見反映をめざした          
                                  
 ◎連合・日教組組合員                       
 全国から約1500人が参加している。連合参加と平和フォーラムとダブリながらの参加であり、日教組の脱原発集会では初めて最大の全国結集結集となる。日教組は大会で脱原発社会実現の特別決議を採択し、連合の政策にいかす方針だ。会場には組合を中心に、外国人、市民団体、個人もみられ、より広範囲な人々が関心もった集会となっている。脱原発はながい取り組みの運動となり、願いの実現へ今後もこうした集会は必要である。       
                                  
◎連合私鉄幹部                           
 800人が参加した。私鉄は大会で脱原発の方向を決めた。平和フォーラムとしての参加だが、組合の違いを超え、いろいろな考えの人々がこうした大集会で脱原発へ一つの方向をみいだせればいいとおもう。