13経労委報告を切る アベノミクスにも背く政策2013/02/08 16:01

13経労委報告を切る                            
                                     
賃金・雇用など働くルール全面破壊の暴論                  
                                     
アベノミクスにも背をむけて                        
                                     
                                     
 経営側の春闘指針となる13経労委報告について、経団連幹部は「企業危機を強調したのが特徴」と語る。38年間にわたる指針のなかでも賃下げ、労働規制の緩和など企業生き延びを背景に、むき出しの利益史上主義の暴論に貫かれている。   
■ベア否定の暴論                             
 賃上げについては、デフレや円高など厳しい経営環境を踏まえ、ベースアップ(ベア)は「実施する余地はない」と拒否した。                
 さらに今回初めて企業収益の源泉はグローバル化の海外市場が中心としながら使途は設備投資と債務返済に当て、国内従業員の「還元は限界」と配分を拒否。「企業潤い、家計すさむ」という亡国論だ。                   
 財界のベア否定論は02年からほぼ一貫した主張である。長期にわたる賃金抑制の結果、年間平均給与は97年の約467万円をピークに58万円も激減し、総額でも34兆円減少している。                            
 デフレの要因は非正規増加やリストラ、賃下げなど深刻な需要不足からだ。さらにベア否定となると、内需の6割を占める個人消費を冷し、企業の収益低下と雇用削減、内需縮小、賃金低下のデフレ悪循環に陥ることになる。         
■査定強化し組合弱体化へ                         
 新たな賃金攻撃は、誰でも毎年昇給する定昇制度の見直しに、しつこく、新たな切り口で踏み込んだことである。すでに定昇水準は85年の3・14%をピークに2・32%へと低下しているがさらに賃下げへ賃金カーブの引き下げを提起した。   
 定昇制度の見直し方向では「定昇は否定しない」としつつも、仕事・役割・貢献度に応じて「昇給の有無や昇給額を決定」と、賃下を提案している。      
 狙いは「査定昇給の割合を増やすこと」と同報告。定昇は賃金表の枠内で行う経営側有利の査定昇給であり、役割、貢献度などで人事査定を強化。労働者を競わせ、企業意識の強化と組合団結力の弱体化につながることになる。        
 さらに賃金カーブ低下への見直しでは、65歳までの雇用延長にともなって「定年前の賃金制度の改革が不可欠」と指摘。経営負担とならない総額人件費の範囲内で現役世代の賃下げを提起し、企業の社会的責任を放棄している。        
■働くルールの全面破壊                          
 労働規制の緩和も経営側の言いたい放題だ。正規雇用の見直しでは、労働条件の不利益変更にかかわる就業規則のルール変更の透明を掲げた。派遣、有期雇用の均等待遇否定や労働時間規制の弾力化、最賃基準見直し、医療・年金改悪など雇用破壊とミニマム破壊に踏み込んでいる。                    
 経労委報告の「雇用の維持・安定を最優先」とは逆に働くルールの破壊だ。製造業ではこの12年間で256万人減(938万人)に落ち込み、電機では13万人リストラの嵐だ。JALの解雇権乱用や日本IBMのロックアウト解雇など法無視の「ブラック企業」をまん延させる危険報告書だ。                
■世界でも異例の日本                           
 経労委報告のベア否定や働くルールの破壊は世界の潮流に逆行する暴論だ。いまや欧米・アジアなど世界は低賃金競争から高賃金・高生産性、雇用創出へ潮目は変わってきたとされる。 ILOの12年「世界賃金報告」は日本などでは労働生産性が賃金に反映していないと指摘し、賃金増加策を提起している。「米経済報告12」でも「製造業を始めとする高賃金セクターでの雇用の再生」を掲げた。ドイツでは高めの賃上げを実施し、フランスでは株主への配当を増額した従業員50人以上の企業には働く人への利益分配手当の支払いを11年に新設した。          
 ところが、日本では世界でも異例の長期賃金低下が続き、97年を100に、企業の経常利益は163まで増えながら、雇用者報酬は88まで低下。大企業は内部留保を267兆円も貯め込み、1万円賃上げならわずか0・59%の還元ですむ。   
 12労働経済白書も労働生産性と賃金のかい離を指摘し、「労働者の所得の増加が消費の増加となる内需拡大の活性化と良循環経済」を提唱。ベア拒否の財界の異常さが目立つ。                               
■アベノミクスと財界きしむ                        
 自民政権復活後の春闘として政府、財界の対応がが注目されている    
 経労委報告は、最終案の「ベアは協議の余地なし」を「実施の余地なし」に修正し、協議には応じるとした。経団連幹部は「危機打開へ安倍政権への期待を含めて修正」と語る。                              
 しかし本音は別だ。「金融緩和や財政政策などアベノミクスは危機打開には不十分だ。経済連携の推進や社会保障制度の改革、労働規制見直しも」と語る。 
 3年時限で5%給与増分の1割減税となる「賃上げ減税」についても「税制改革は不明確。全体をクリアすれば個別企業で活用も」と述べ、ベア否定路線の転換には背を向けている。                            
 政府の2%インフレ目標も財界の賃下げのもとでは物価高の生活破壊。消費増税や軍拡改憲阻止とあわせた春闘が課題となる。                
■財界・政府との対決春闘を  春闘交渉で経労委報告は「自社の支払能力」を原則に統一闘争を否定。「経営の危機感を共有し、企業の競争力強化へ向け労使共同のパートナーシップ対話」を提唱した。さらにアジアでのスト頻発のなかで「日本の良好で協調的な労使関係は世界に誇れる財産」と評価している。組合を経営側の組織に変質させ、組合否定の暴論だ。組合はなめられ過ぎではないか。     
 春闘で財界が恐れるのは経済闘争と政治闘争を結合した大きなたたかいだ。春闘の軸に賃上げを設定。デフレ脱却と暮らし、護憲平和へ共同を拡大させ、経労委報告の暴論と安倍政権の暴政を阻止する国民的な春闘が期待されている。〆