32年ぶりUAゼンセン茨木家電3労組が労働協約の拡張適用 ― 2021/10/01 14:54
労働フォーラム【2021年10月1日】
32年ぶりUAゼンセンが労働労協の地域的拡張適用を実現
茨木の大型家電量販店で年間休日111日へ、フランス、ドイツでは先行効果
UAゼンセンに加盟する茨木県内の大型家電量販店の組合が労働協約の地域的拡張適用(労組法18条)を実現させ、地域の同種の労働者の労働時間短縮・休日増加へ波及させる大きな成果をあげた。フランス、ドイツでは産別労使協約の拡張適用で広範に産別の労働条件獲得成果を組合のない企業や労働者にも波及させている(フランス98%、ドイツ53%)。しかし日本は企業別組合で、組合組織率も低いため、労使協定の拡張適用のハードルは高い。これまででもゼンセン同盟が1982年に愛知県尾西地域の糸染業42社と連盟で締結した年間休日86日以上の協定がある程度で、今回のUAゼンセンの地域的拡張は30数年ぶりの歴史的成果となる。知事決定が多く、厚労相決定は初めてである。
今回、協約を締結した組合は、茨木県内のヤマダ電機労組、ケーズホールディグスユニオン、デンコードユニオンの流通部門家電関連部会所属の3労組が使用者と連盟で締結した「年間所定休日に関する労働協約」。無期雇用月給制フルタイム労働者の年間休日を最低111日としている。9月22日に厚労相名で決定し、期間は22年4月から1年間である。適用先は茨木県内で店舗面積が1000㎡以上で、商品は少なくともエアコン、冷蔵庫、洗濯機の3品目を含むことなど7項目など細かく定められている。
適用対象は51店舗・約600人。拡張適用は2社5店舗で、組合のない企業や年間休日が106日の会社もあるが、111日に改善されることになる。組合では隣接する千葉、栃木、福島の拡張適用を申請したが、中労委の決議で県内に限定され、組合側は労使自治の尊重をと語っている。適用企業の特徴は全国展開の大企業で、茨木の組織率は90%、全国では80%の組織率と高い。
年間休日111日の協定日数は、ゼンセン部会の平均110日、流通・小売112日、1000人以上119日などを参考に設定。対象労働者を正社員にしたことについては、パートなどの方が労働時間では休日は多いという。
今後の拡張適用の運動について、UAゼンセンの西尾多聞・副書記長は「産別組織として社会的影響力のある運動の展開として組織拡大と公正労働基準、公正競争の具体化をめざして取り組みを強めたい」と語った。
連合も10月6日の定期大会で集団的労使関係の拡充・強化として、「労働協約の拡張適用」の方針を提起。9月28日の連合中執会議でもUAゼンセンの松浦会長が茨木の協約拡張適用を報告し、神津会長は会見で「格差是正に歯止めをかけるため、もっとアピ-ルしていきたい」と評価した。企業別組合の弱点カバーと産別機能の強化へ向け今後も労働協約の地域的拡張と組織拡大の運動が注目される。(労働ジャーナリスト・鹿田勝一)
ジェンダー平等へLAL167人の解雇解決を、12与野党会派に要請 ― 2021/10/02 21:32
労働フォーラム【2021年10月2日 土】
ジェンダー平等実現へJAL解雇早期解決を、初めて与野党12党会派要請
不当解雇撤回原告団と女性アピール呼びかけ人ら国会前集会も
ジェンダー平等の実現からもJAL165人の解雇解決を掲げて9月30日、初めて国会衆院前でのスタンディング・アピールが行なわれ、与野党12党会派への解決要請が行なわれた。
主催は日本婦人団体連合会で、日本航空の解雇問題を解決するための女性アピール呼びかけ人(浅倉むつ子早大名誉教授ら6人)や賛同者による取り組みである。
「ジェンダー平等の運動とJALの解雇」の運動は、不当解雇から10年目の昨年12月、JAL不当解雇撤回支援国民共闘を含めて記者会見を実施。その後、今年3月に女性団体や有識者で女性アピールの発表会見を行い、7月にはオリ・パラ組織委員会に要請し、今回が3回目の行動となる。
国会前のスタンディング・アピールで柴田真佐子婦団連会長は「女性が働いやすい職場づくりで頑張りながら解雇された。不当解雇撤回で頑張っても解決していない。ジェンダー平等からも早期解決を」と訴えた。婦人民主クラブの山田博子会長は「人間らしく働ける職場と、空の安全でも奮闘」と激励。MIC(日本マスコミ文化情報会議)議長で新聞労連の吉永魔美委員長は「新政権で航空会社などへの支援も始まるだろうが、まず目の前の不当解雇の解決が求められる」と強調。竹信三恵子和光大学名誉教授は「見せしめの整理解雇は許せない、空の安全のためにも政治は有効な手を打つべきだ」と訴えた。
日航キャビンクルーユニオン(CCU・中立)の平岩元美書記長は「解雇と同時に賃金・労働条件は改悪され、コロナ禍で賃金低下が深刻化している」と告発。職場アンケートでは、連合加盟労組を含めて約1800人が応え、CCUの約10倍が職場の不安な声を寄せた。「人事評価制度でモノの言えない打開のためにも解雇解決を」と強調した。
内田妙子客室乗務員原告団長は「ジェンダー平等と解雇解決は会社にも訴えている。女性の賃金差別是正のためにも解雇解決を」と訴えた。女性賃金差別は10年前より悪化し、ベテランでも昇格しない限り賃金は上がらず、組合の違いを超えた切実な問題という。
これまで女性の働く権利の拡大のたたかいは、1970年代から30歳若年定年制や結婚退職、妊娠退職などを撤廃させている。また乗務員の非正規化となるアルバイトや契約制の導入も「空の安全」を訴えて反対し、22年越しの闘いで全員の正社員化を実現させた。一方、会社側は闘ってきた女性たちを年齢理由などで84人の整理解雇者を強行。組合役員や活動家が多く、「物言う女性、労働組合の見せつけ的な整理解雇」となっている。
与野党への要請では「解雇は最高裁で不当労働行為とされ、ILOからも4回解決勧告が出されながら、11年に及ぶ争議は解決していない」と指摘。会社に求めている「一日も早く解雇問題の解決の訴えに理解を申し上げ、衆議院選挙の政策にジェンダー平等の実現を加えて頂くこと」などを要請している。
要請政党は自民、立憲、共産、国民、社民、公明、維新、N党、れいわ、みんな、沖縄の風、碧水会の12与野党会派。行動には争議団員や女性アピール呼びかけ人、賛同者など32人が参加した。
JAL争議は会社の不誠実な対応で11年にも及ぶ。最高裁も違憲・違法の不当労働行為の解雇と断罪している日本最大の争議。早期解雇解決へ「JAL争議オール支援」の大衆行動と支援拡大が求められている。(ジャーナリスト・鹿田勝一)【JAL解雇闘争レポート51号】
労働ペン40周年、菅野東大名誉教授が労使関係と法で講演 ― 2021/10/05 15:51

日本労働ペンクラブの40周年の記念講演で9月30日、東大名誉教授・明治大学元学長の菅野和夫氏が「日本的雇用システムとアフターコロナの課題」と題して講演。労使関係の再構築として、「過半数労働者代表を統一的で恒常的な従業員代表制に立法化すること」を提起した。質問で労働者代表制の法制化については「私がやり残した最後の課題」と述べ、規模、内容、選択制など柔軟性な対応も提言した。連合も集団的労使関係の拡大として10月6日の大会方針に提起している。
政権交代へっ労組、市民、野党が国会前集会 ― 2021/10/06 15:54

国会前で政権交代集会が10月4日に行なわれた。総がかり行動が主催し、立憲、共産、沖縄の風、市民連合、反貧困ネット、弁護士など役300人が参加。組合では全労連都全労協が目立った。
JHUが初の幟旗はためかせ、国交省要請行動 ― 2021/10/09 20:38

労働フォーラム【2021年10月5日 火】
JHUが国交省前で解雇解決要請行動
宣伝カー、初の幟旗はためかせ、抗議行動に72人参加
「国交省はJAL165人の解雇解決の指導責任を果たせ」とJAL被解雇労働組合(JHU)は10月4日、国交省前で抗議要請行動を展開した。国交省が組合の団交申し入れに対して9月30日、「JALの整理解雇は個別企業の問題であり、行政が対応するのは適切ではないと」口頭回答したことに対する抗議と解雇解決への指導責任の追及である。
山口宏弥JHU委員長は「JALの人員削減を含む更生計画に国交省は指導監督を行っている。国交相の関与した大量解雇に対し使用者責任が問われている」と強調した。さらに前田(元)国交相が12年4月、JAL解雇事件について国会で「会社での解決を見守り、指導もしたい」と答弁していると指摘し、「争議は11年目となっている。国交省は国会約束を守り、JALの解雇争議の解決を指導すべきだ」と責任を追及した。
支援組合からは国労東京支部、神奈川連絡会、東部全労協など8組織がJAL不当解雇の早期解決へ国交省の指導責任を追及。行動にはこれまで最高の72人が参加した。初めて宣伝カーが繰り出され、「JALは解雇争議を解決せよ」を標したJHUで初めての幟旗もはためかせた。
JAL争議支援行動は京都、神奈川、東京など各地で広がりを見せている。またJAL不当労働行為の第3回都労委審問も10月19日に予定されている。(ジャーナリスト・鹿田勝一)【JAL解雇闘争レポート52号】
連合が集団的労使関係拡大へ地域ゼネラルユニオン ― 2021/10/13 13:57

連合は10月6日、オンライン併用で第17回定期大会を開き、コロナ禍打開へ「新しい運動スタイルの構築」を掲げ、集団的労使関係の強化拡大を決定した。中小・非正規の組織拡大への「地域ゼネラルユニオン」の検討や労働者代表制の法制化、「あいまい雇用」で労働者概念の拡大をうちだした。財界が狙っている解雇金銭解決の反対も掲げている。
異例の連合新体制と課題、芳野新会長らが会見 ― 2021/10/13 14:08

連合は8代目(2021~現職)の新体制として芳野友子会長(JAM)、清水秀行事務局長(日教組)、会長代行に松浦昭彦UAゼンセン同盟会長、川本淳自治労委員長を選任した。女性会長は連合で初めて。人事は難航。役員推薦委員会は38回も開かれ、選挙管理委員会も告示を延長し再告示。大会開催日の10日ほど前の推薦と迷走した。会長候補とみられた相原事務局長や難波淳介運輸労連委員長などは出身組合などの都合で頓挫し、「連合の危機」との声も聞かれた。役員62人一括の投票で480票のうち信任は435票だった。
会見で芳野会長は「女性のガラスの天井を破るチャンス」と表明。「不安がある」と語りつつ、「現場の意見を聞いて合意形成」と語る。22初陣春闘や集団的労使関係に拡大と組織拡大、政治など前途多難。構成組織の意見調整とあわせ、諸闘争でナショナルセンターのリーダシップの発揮が問われている。
ラグビーシーズン始まる 明治46対日体大10 ― 2021/10/13 14:52

秋から来春にかけてのラグビーシーズンが始まった。関東大学対抗戦2021は8大学の総当たり戦。第3戦は昨年の覇者明治大が46(トライ9本)対日体大10(トライ2本)で勝利した。
連合32年8代の役選難航史と運動エッセンス ― 2021/10/17 16:00

連合の役員選出は混乱し、これまではどうだったのかという質問を度々受ける。検証すると、今回8代目で異例の混迷役選となったが、実は、2代、3代、4代、5代、8代とも会長、書記長いずれかの選挙戦。有名なのは高木ゼンセン会長に対して、全国ユニオンの鴨会長が9条改憲反対で立候補し、107票獲得の奮闘に会場は「ウオー」と驚きの声。詳細は連合通信10月14日付に「連合32年の歴代役員人事の動向と運動エツセンス」で紹介されている。
全労連、総選挙で政策実現政権めざす、22春闘でも先行 ― 2021/10/18 16:38

全労連の幹事会が10月14日に行なわれ、黒澤事務局長は会見で「総選挙については4野党と市民連合との政策内容は全労連の政策と共通しており、政策実現の政権へ全力を上げたい」強調した。また22春闘構想では、今春の成果を踏まえ、金属大手より先行回答を目指し、参加産別の増加を強調。初めて「全国5000事業所前宣伝行動」を展開し、未組織労働者の春闘参加と組織拡大を連動させる方針だ。連合が初めて女性会長を選出したことを問われ、「歓迎し祝電を打った」と報告。全労連も女性議長であり、ジェンダー平等で一緒に訴えられていければ良いと思うと語った。
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