大手金属、春闘変質、回答非公開、妥決柔軟性 ― 2021/03/17 20:32

金属労協は要求「3000円以上のベアを基本」にしたものの、賃上げ要求組合は39組合と昨年より30%激減し、ベア獲得組合も28組と8年ぶりに最低となった。獲得額も昨年同期を75円上回っている。
特に自動車は「ベア・定昇」とも非公開」とし、各社の分散個別賃金の表示にとどまり、回答の情報開示にも問題を残している。
トヨタは昨年より900円低い全組合員平均で月9200を要求し、満額獲得とされているが、内容は非公開だ。トヨタ労使は18春闘の日本語回答でベアを不明とし、19年には総額要求でベアを非公開とした。20年はベアゼロ回答で、今春闘では。8年ぶりのベア見送りとも報じられているが、ベアの有無さえ非公開とし、社会的な賃金引上げに影を落とすと連合産別からも懸念されている。3月期の営業利益が前年比5割増の5兆円と予測されながら、成果配分にも課題を残した。
日産は5年ぶりに要求を引き下げ、昨年より2000円低い7000円とし満額獲得となった。昨年まで公表していた定昇(6000円)とベアの内訳を初めて非公開とした。ベア見送りは8年ぶりの本田、三菱自工、マツダなどである。
電機連合ベア要求を昨年より1000円低い2000円を設定し、妥結の歯止めとなる闘争回避基準は昨年と同じ1000円以上に設定した。回答は三菱などは1000円だが、日立、東芝、などは昨年マイナス300円となり,NECは福利厚生社内ポイント(500円相当)を含めて1000円とした。昨年に次ぎ「妥結の柔軟性」でベアと処遇改善の合算で回答内容はばらつき、産別統一闘争59年で実質分散決着となった。鉄鋼など基幹労連の三菱重工などはメアを10年ぶりにベアを見送り、鉄鋼大手は昨年ベアゼロで決着している。
中堅中小金属のJAMは21春闘で連合方針を踏まえ、定昇確保とベア平均6000(2%程度)で10500円、個別賃金も提示した。大手のベア獲得は島津1000円プラスアルファ、アズビル2000円と健闘している。
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