JHUの都労委闘争に支援広がる、弁護団、乗員原告団ら2022/10/02 15:08

労働フォーラム【2022年9月29日】木
JHUの都労委闘争の支援・連帯へ新たな広がり
上条JAL争議弁護団長ら初出席、学識者声明、乗員原告団長らも初参加

JHU(JAL被解雇者労働組合)がJALと国交省の不当労働行為の救済申立を行っている都労委の第10回調査が9月26日に行われ、弁護団や学識者声明、乗員原告団長、全労連の有力産別前幹部の初参加など、解雇解決への新たな広がりを見せた。
弁護団では、これまでの指宿昭一弁護士、加藤桂子弁護士に加え、新たに2人の弁護士が申立代理人として参加。上条貞夫弁護士(JAL不当解雇撤回弁護団長)は、「会社は3組合の統一要求に答えれば争議は解決していたのに、ゼロ回答に終始し逃げまわったのが根本問題だ。不当労働行為を厳しく追及していく」と表明。岡田尚弁護士(JAL闘争を支援するかながわ連絡会共同代表)は、「不当労働行為では団交拒否だけでなく、組合に対する不当な支配介入も明らかにしていく」と強調した。
参加者では、JAL乗員原告団の近村一也団長(航空連前議長)らも新たに参加。JFU(乗員組合)では会社の業務委託契約や争議終結をめぐり、大会前後に組合の副委員長を含む被解雇者59人中16人が組合を脱退。「闘争終結をよしとしない」として組合資格を失った被解雇者など18人が乗員原告団を継続し、9月24日の集会で近村氏を団長に選出。近村氏は「原告団は継続し、JHUを支援し連帯する」と連携を表明し、拍手で歓迎された。JHUの加盟者もいる。
全労連の元副議長で有力産別JMITUの前委員長も初参加。同産別は9月6日の中央執行委員会で年末闘争方針を決定。JAL争議についてはCCU、乗員組合の争議は終結したが、JHUは引き続き闘争を継続しているとし、「JMITUは、JAL争議の全面解決をめざし引き続き争議支援を継続する」と決定している。同産別はこれまで日産、いすゞ、IBMなど大企業争議で勝利判決や勝利和解の力を持ち、映画でも紹介されている闘う産別である。

★JALの「中立義務違反」、国交省の「使用者性」を追及

都労委では、JAL調査で組合への業務委託契約提案をめぐり、JHUに対する会社の「中立義務違反」が新たな不当労働行為として問題になっている。
国交省調査では、JAL解雇にかかわる国交省の監督、指導責任と使用者責任が争点。組合は前原誠二国交相(当時)のJAL再生タスクフォース(国交相直轄の顧問団)や2020年9月の日経新聞インタビューなどで、大臣がJAL更生計画や「人員整理、リストラ」などに深く関与していた事実を証拠説明書として提出。国交省は無視できず、検討対応時間の要請など、使用者責任についての回答を迫られている。JHUは改めて国交省に団体交渉を申し込む方針である。
JHUの要求は原職復帰と早期解決への解決金である。山口宏弥委員長は「解雇争議解決でいよいよ決勝戦進出。納得いく解決までたたかう」と表明。山﨑秀樹書記長は「会社は次々とボロを出してきている。攻めていく」と決意を表明した。

★学者、研究者が「JALに解雇争議の早期全面解決を求める第2回声明」
ILO166号勧告、JAL人権方針に基づき、被解雇者の「再雇用」を

学者、研究者の9人が「JALに解雇争議の早期全面解決を求める第2回声明」を発表し、9月22日に都労委に提出した。声明は醍醐聰・東京大学名誉教授、松丸和夫・中央大学教授、萬井隆令・龍谷大学名誉教授、兵藤淳史・専修大学教授ら9人。
声明は、赤坂社長は6月21日の株主総会で「再雇用で解決したい」と発言したが、JFUとCCUの争議終了・解決は社長のいうような「再雇用」でなく、雇用によらない働き方で2年間限定の業務委託契約となつた。JFUとCCUそしてJHUは「統一要求」を掲げて解雇争議の解決をもとめてきたが、業務委託契約は統一要求の「職場復帰」ではないと指摘した。
その上で、「ILO条約166号にかなった解決を求める」と声明。JALの解決提案・主張は、解雇した労働者と業務委託契約を結ぶことでILO166号勧告が求める被解雇の優先的雇用をせずともよいことを意味することになると指摘。労働者を整理解雇した後に、労働法の保護の及ばない業務委託契約を結び、再雇用しなくてもよいとされてしまうなら、労働者をいつでも解雇してフリーランスに置き換えることの可能な、解雇自由社会の登場を促すことになるだろうと強調。全労働者のためにも解雇争議の早期全面解決を求めているJHUが、業務委託によって解雇が容認され、正当化されることにつながるような先例をつくるわけにはいかないと考えるのは当然のことと思わると指摘している。
また、「雇用ではなく業務委託契による解決はJALグループ人権方針と矛盾する」として、各国法と国際的に認められた人権と対立する場合、JALは国際的な人権基準を尊重と人権方針で規定。国際的な人権基準は、被解雇者の優先的雇用であり、JALは自ら定めた人権方針に沿って本解雇争議を一日も早く全面解決することを改めて要望すると声明している。
学者、研究者の第一回声明は、今年の2・16東京集会では119人が賛同、6月にはJAL本社と国交省行動で130人の賛同を手渡し、都労委にも提出。これまでに賛同者は144人に増えている。今回の第2回声明も広く賛同者を募る方針である。
(ジャーナリスト・鹿田勝一)【JAL闘争レポート69号】

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